「朝から怖い顔をしているね。」


長田はトイレに入ると開口一番、俺にそう告げる。



「長田さ、今でも俺の後ろに黒いモヤは見えるか?」


「もちろん。毎日見えているよ。」


「実は・・・・俺もお前に言われてからずっと気になってて、この前有名な霊媒師さんの所に行って診てもらったんだよ。」


「ほお。それは興味深い話だね。
それで、どうだった?」


「この黒いモヤは、不幸を呼ぶ。

そして他人に・・・俺の親しい人に伝染するらしい。

初めてお前と喋った時に、お前が言っていた見立ては正しかったよ。」


「やはりそうか・・。」




「・・・・・長田にお願いがあるんだ。
この事を・・ミサキに伝えて欲しい。」


「なんだって?」


「俺が言っても説得力に欠けるだろ?
だけど、お前からミサキに言えば、あの子も信じる。」


「・・・・それは確かにそうだが・・」




「勿論、俺がそうお前に頼んだことは絶対に言わないでくれ。」


「・・・・・・良いんだね?」




「ミサキにさ、

“河原とこのまま付き合っていても不幸になる”

“河原は・・・“河原は化け物だ”って・・・・伝えてくれないか・・。頼む。」




「・・・・・分かった。」


「ミサキに伝えたら、また教えてくれ・・。」