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「後藤、説明してくれよ。」


後藤は自転車通学をしていないのか、

徒歩で学校を出たので俺も自転車を押しながら隣を歩く。




「ごめん・・河原・・。」


「お前のおかげで武田先生に顔と名前覚えられちゃったじゃないか。
何であんな嘘ついたんだよ?」


「・・・・・・・」



後藤は何も答えてくれない。


「どうしたんだ。
喋ってくれないと分からないだろ。」


「・・ごめん・・・脅されてるんだ・・・
“チクったら・・またリンチする”って・・」





“リンチ”だと?


「お前、ひょっとして複数の人間から殴られたのか?」


「・・・・・・」


「ちょっと、体見せてみろ。」



その場に止まって自転車のスタンドを立てると、嫌がる後藤の制服を無理矢理めくった。





・・・・体中にアザができている・・。



「お前・・・先生達もここまで見なかったかもしれないけど、めちゃくちゃひどいじゃないか!?

何人にボコられたらこんなんになるんだよ・・。」


「・・・・ごめん河原・・本当にごめん・・・。」



後藤の目には涙が浮かんでいた。




「お願いだよ・・この事は絶対に先生や他の人達に言わないでくれ・・・

じゃないと・・・“妹たちにも手出す”って・・。」


「誰にやられた?それぐらいは教えろ。
俺は正体も分からない奴らの身代わりにされたんだぞ。」




「・・・・・」


「・・・・・」