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バレンタイン当日。

いつもの場所で昼飯を食べ終え、スマホをいじっていると前から重本が歩いてくるのが見えた。



「河原君!やっぱりここだったんだね。」


「あれ?何で俺がここにいるって分かった?」


「前に1回だけ僕もここで一緒にお弁当食べたじゃないか。」


「そうだっけ?」


「ひどいな忘れるなんて。
はい、これ。」




重本が可愛い包装紙に包まれた小さなチョコらしきものを渡してきた。



「何これ?」


「ケイコからだよ。クラスの男子全員分作ったんだって。

さっき自分でみんなに配ってたんだけど、河原君教室にいないから僕が預かってきたんだ。」


「わざわざ全員分作ってきたのか。
悪いな俺まで。」


「言っておくけど、僕が貰ったのはその10倍はある大きさだからね。」


「分かってるよ。
山岸によろしく言っておいて。」


「うん。じゃあ行くよ。」





重本がまた本棟のほうに戻っていく。