俺達もエスカレーターで上に上がると、
目の前にはとんでもない数の本棚がいっぱいに広がっていた。
そして明らかに隣にいるミサキの目つきが変わった。
まるで試合になった時のハルイチみたいだ。
「俺は後でいいから、ミサキに合わせるよ。」
「・・・うん!」
ミサキは少しハニカムと俺の手を引っ張る。
好きな場所、好きなもの。
水を得た魚のように、ミサキは所狭しと本棚を巡る。
凄いな・・。
この子は短時間で本棚の隅から隅まで目を配らせ、気になった本があれば素早く手に取る。
もし彼女がサッカーをやるなら、ポジションはボランチだな・・。



