学校を出てしばらく自転車をこぎ続けると、グラウンドに続く坂道に入った。
立ちこぎしながら坂を登り続けると、ようやくグラウンドが見えてくる。
「ピッ!」
「そうそう!そこ!
高原!動き出しが遅い!
お前がそこじゃすぐカウンターできないだろ!」
「はい!」
長い道のりだったがようやくサッカー部に辿り着けた。
今はセットプレーからの守備の練習をしていたようだな。
誰かに見つかると面倒だからグラウンドを見下ろせる所までもう少し坂を上る。
「お、いいところにベンチ。」
ちょうどベンチがある場所が見つかり、そこで自転車を降りる。
ここならちょうど全体が見られるな。
「お手並み拝見っと。」
再びグラウンドに目を移すと、ビブスを着ているハルイチ達が再び守備陣形を整えていた。
多分、ビブス組がレギュラーだな。
ハルイチはでかいからすぐ分かる。
「ピッ!!」
青田先生の笛と共に、キッカーがボールを蹴り出し、攻撃側、守備側が一斉に動き出す。
よく見ると、チカと他の女子数人がグラウンド脇の水道の所にいた。
休憩時のドリンクを作っているようだ。
あいつも大変だな。
重たそうなタンクを一生懸命持ち上げていた。



