しばらく自転車に跨がったままグラウンドを見つめていると、校舎から先生が出てくるのが見えた。


見覚えがないから2年生の先生ではなさそうだけど、とにかく聞いてみよう。



「すみません、今日ってグラウンドはずっとソフトボール部が使ってるんですか?」


「お、誰だお前?」


「宇宙人ですけど。」


・・やばい!
相手は先生なのに、いつもの癖で“宇宙人”って答えちゃった・・。



「そうか。俺はM78星雲人。」


無精ヒゲを生やしたこの先生は逆にノってくれた・・・・助かった。





「今日は朝からソフト部が近隣の高校と合同で交流試合やってるみたいだぞ。

・・・・お、あそこにいる顧問の先生可愛いな。

お前ちょっとどこの高校の人か聞いてきてくれよ。」


「・・・遠慮しておきます。
あの、サッカー部ってどこか別の場所で練習してるんですか?」


「サッカー部?そういえば青田さんどっか行くって言ってたな・・・。

え~~っと・・・」




青田先生っていうのは多分サッカー部の顧問だ。

チカからその名前を聞いたことがある。



「忘れた。」


っておい・・・。
思わずガクっとなりそうになるのを堪える。


「そうですか・・。」







「遠藤先生!急にどっかいなくなるの勘弁してくださいよ。」


俺と無精ヒゲ先生が話しているところに、また見知らぬ先生がやって来た。



「お、門倉良いところに来た。
青田さんどこ行ったか知ってる?」


「青田先生ならサッカー部の練習で森中グラウンドに行ってますよ。
今日はソフト部が終日学校のグラウンド使うので。」


「それだ!森中グラウンドだ!
あのちょっと山道っぽいところにあるグラウンド。分かったか宇宙人。」



「ありがとうございます。
じゃあ俺もう行きます、失礼します。」







「何ですか宇宙人って。」

「俺とあいつの話だから気にするな。」



2人の先生はそのまま何やら立ち話を続けていたが、場所が分かったので校門を出る。