長田と一緒に、技術棟のトイレに入った。
確かにここのトイレを使用する生徒は少ないから、邪魔が入らずゆっくり話ができるな。
初めて喋った時といい、どうもこいつとは便所に縁がありそうだ。
「ここ数日、君のことを観察していた。」
「お前、そっちの気があるのか?」
「安心したまえ。僕にそういう気はない。」
「それで?」
「やはり君には死神が憑いているんじゃないのかい?」
「・・・憑いてないよ。」
「・・・・おかしな人だな君は。」
「どういうことだよ。」
「“死神が憑いているんじゃないか?”なんて非科学的な事を誰かに言われた場合、
普通の人は大抵“え、どういうこと?”と驚きながら、聞き返すはずだ。
なぜそう思ったのか、本当にそうなのか、
それを言ってきた人に尋ねるのが普通の心理だからね。
しかし君の場合は、自信を持って“憑いていない”と答えた。
初めて会話したときも、今もね。」
「・・・・・」
「君自身も分かっているのかい?
自分が死神に憑かれているということを。」
「あのな、俺はオカルトとか、そういうの全く信用していないだけだ。
もちろんお前のこともな。」



