第11話 奪ってしまった日











「気がついた?」


「あれ・・・河原君・・・わたし・・」


「急に倒れるからとりあえずここまで運んできた。
過呼吸だったと思うよ。」





松尾さんに「好きだ」という嘘をついた直後、彼女は意識を失ってしまった。


多分、緊張の糸が切れたのか、俺からOKが貰えると思っていなかったのか、

とにかく公園のベンチまでおぶっていき、俺の上着を着せて寝かせていた。



「あ、あ、あの私、お、重くないかな?」


俺の膝に頭を乗せられた松尾さんが少し恥ずかしそうに見上げながら尋ねる。


「重いし足痺れてきた。」


「・・・・」

すぐに起き上がろうとする松尾さんを優しく押さえる。



「もう少し横になってて。あと急に起き上がると立ちくらみするよ。」