私は君が分からないから

「…あらら〜」



…ん?

見覚えのない女子生徒だが、その口調ぶりはよく知っていた。



とにかく柔らかく、かわいい声音。

伸ばし口調の言い方も、私の知ってる者と同じだ。



顔を見れば、知らない女子生徒なのだが。



腰まである緩くウェーブの掛かる桃色の髪、

おっとりとした眠たそうにも見える同じ桃色の瞳。



まじまじと見る私を、この女子生徒もキョトンとした顔で見ている。



「私の事、分かりません?」



首を傾げて聞いてくる女子生徒。



心当たりは1つある。



ただプライベートで親しいというより、

こう…行動する上で気が合ったと言う感じのメンバーの一人。



ふと、そんな事を考えてると胸元に目が行った。

正確には制服の胸ポケット。



そこに縦に刺されたピンクの百合の花を模した小物。



「…智花か?」



「えぇ、蘭」



私の心当たりは当たっていた。

彼女は私の友人で、会えば親友の葉月智花。



顔は初めて見た。

花が咲いたように微笑む智花。



イメージ的にはもう少し違う気もしたが、

大体は合ってるし気に留めないことにした。



「で、私、蘭を迎えに来たんです」



ーガシッ

「え…」



腕を掴まれた。

もう、ガシッと。



そしてそのまま微笑む智花に引っ張られるがまま、

私はシンと静まり返っていた教室を後にした。