好きでいいかも……

 ビルの出入り口に向かって歩きながら、ジョンが口を開いた。


「カイト、めずらしいな。お前が女の人にハグするなんて……」


「うん。だってね、リサのお友達は、リサみたいに笑うんだよ」


「どういう意味だ?」

 ジョンが、ちらりとカイトを見る。


「あのね…… 本当に笑うの。ウソついて笑わないの」


 私は、なんとなくカイトの言っている意味が分かる気がした。

 もう一度、三人の友の方へ振り向いた。

 三人は、優しくほほ笑みながら、私達を見送っていた。



 そうだ……


 この人達は、私が、どんな状況になっても……

 結婚した時も……

 離婚した時も……

 仕事一筋になっても……

 そして、いま、奇跡的な転機が訪れようとしても……


 私を、変わらない笑顔で、見守ってくれていた……

 辛い時、救ってくれた優しい言葉も……

 時には、厳しい言葉も……


 私を、信じて支えてくれていたんだ……


「ありがとう……」

 私は三人の友に向かって言った。


 ジョンが、片手でカイトを抱き、もう片方の手を私の腰にまわした……


 暖かい手から、体中に安心感が伝わり、幸せだと噛みしめた……