突然の勢いに、驚く間もなくビルの影に連れ込まれた。

 壁に隠れるように、そのまま、ギュッとジョンの腕が私の背かなにまわった。


 大きな胸の中で、苦しくて、苦しくて仕方なかった思いが溶けていく…… 


「ごめん…… 我慢できなかった…… このまま、逢えなかったらと思うと不安で…… もう、絶対離したくない……」


 そっと、胸の中から顔を上げると、ジョンの潤んだ目と重なった。

 ジョンの片手が、背中から離れ、私の頬に優しく指が触れると、グッと背中を押され唇が重なった。


 優しく触れた唇は、軽く離れた後、息も出来ないほど深く重なった……


 好き……

 と心が叫んでいる。


 やっと、離れた唇が、

「好き……」

 と動いた……



 その途端、ジョンを見つめた私の目から涙が溢れ出てきた。


「好きだ……」


 ジョンの腕に、強く、強く抱きしめられた。


 もう、どんな事があっても、逃げたりしない……


 だって、この人を離したくないから……


 すぐそばで、人の行き交う足音が聞こえる。

 誰かに気付かれるのではないかと、ドキドキしながら、

 
 もう一度唇を重ねた……