「時々会うようになったんだが、ひどくカイトが彼女を嫌ってね……」


「えっ?」


 私は思わず声を上げてしまった。


「彼女も、あまり子供が好きじゃないらしくて、カイトを寄宿制のスクールに入れる話をしてきたんだ。この人といても、僕は幸せじゃないと思って、付き合う事を断わったんだ。上手くいえないけど、彼女といる自分に違和感があってね……」


「違和感?」

 繰り返すように、口からぽろりと出てしまった。


「そうだね…… 何かが違うと感じたんだ。これは、カイトの母親に対しても感じたことなんだ……」

 ジョンは少し寂しそうに、コーヒーカップを口に運んだ。


 私は、ジョンの言葉に、もしかしたら自分と同じ思いをしてきた人なんじゃないかと思った。


 きちんと、ジョンと話をする事で不安に感じていた事が、一つづつ消えて行く気がする。


 信じる事から逃げる前に、ジョンと話をするべきだったと改めて後悔した。



「でも……」

 私は、まだ納得できない胸のモヤモヤを口にしようとしたのだが。



「なぜ、彼女と合っていたかだよね?」


 ジョンに、先を言われてしまい、嫉妬した事がバレてしまった気がして恥ずかしくなる。


「はい……」


 小さな声で返事をし、下を向いた。


 ジョンは大きく息を吸った。


「あの日、僕のオフィスに、仕事打ち合わせの父親と一緒に彼女が来たんだ。カイトとも仲良く出来るようにするって言って来てね」


「えっ!」


 また、私の心が重く沈む。