ロビーを出た、私とジョンは近くの喫茶店へと入った。


 そういえば、午後の就労時間はとっくに始まっているが、どうしよう…… 

まあ、なんとかなるか……


 向かい合って座り、お互いコーヒーを注文した。


 まずは、あやまろう……


「ごめん……」


「ごめんなさい……」

私とジョンの声が同時に重なった。


 思わず目を合わせ、お互い苦笑いをする。


 自分の中のどの気持ちから話せばいいのか分からない……


 頭の中でまとまりがつかないのだ……


「僕から話してもいいかな?」

ジョンは、私の心を見透かしているかのように言った。


「ええ……」

私も肯く。


「あの夜の事を怒って、日本に帰ってしまったんだよね?」

ジョンは、少し悲しそうな目で私に問いかけた。


「……」

私は、黙ってコクリと肯いた。


「彼女は、オーストラリアでも有名なコスメブランドのオーナーの娘さんなんだ。彼女は僕に好印象を持ったらしくて……」

ジョンは、少し困ったように言ったのだが……


「そう……」


肯いた私の心は、重く沈んだ。

 やっぱり、そういう関係だったのか……