「わ―。綺麗なお姉さん！　ぼく、お姉さんと一緒にリサのお仕事のお部屋見たい！」

　カイトは、泣きそうだった顔を、コロッと笑顔に変え、晴香の手を取った。


　確か、女の人に懐かないって言ってたよな？　


　そんな事が頭を過ったかが……


「理紗。後は自分でなんとかしなさいよ！　いくら遠くに逃げたって、自分の気持ちからは逃げられないんじゃない」


　晴香は、そう言い放つと、カイトの手を取って行ってしまった。



　ジョンも、黙って二人の去って行く姿を見ていた。


　今まで黙っていた重い口を、やっとの事で開いた。


「ジョン……　あの……　私もお話ししたい事があります……　今から、お時間居頂けますか？」


　私は、ジョンの姿に向かって言った。


　ほんの少し間をおいてから、ジョンは私の方へ向きを変えた。


「勿論、いいですよ」


　ジョンは、優しい笑顔を向けた。


　思わす、吸い込まれそうになる。



　これは、私にとって、人を信じる事……　

　そして、好きという事に、逃げずに向き合うと言う事だ……


　勿論、不安はある……


　でも、今、この勇気を逃したら、もう二度と前に進めない気がする……