やはり、海外にいるともったいなくて、寝坊などしいられない。

 朝、早く起きて、エスプラネードまで足を伸ばし軽くランニングをして戻ってきた。


 すると、目の前にジョンの車が停まった。


「リサ!」

 制服姿のカイトが、車から飛び降りてきた。

「おはよう、カイト」

「グッモーニング、リサ」

「どうしたの?」


「リサの走っているのが見えたから! これから学校行くんだ」


「そう。頑張ってね!」


「リサ…… 学校から帰ったら、一緒に泳ごう?」

 カイトが伺うように私を見た。


「こら! カイト。リサに迷惑かけるな! 今日はパパもここで仕事じゃないって言っただろ」


 カイトが頬を膨らます。


「あの…… 私が、学校迎えに行っちゃダメですか?」


「えっ?」

 ジョンが驚いて私を見た。


「あっ…… ご迷惑ですよね? 私一度、現地の学校の中へ入って見たかったもので……」

 それは、本当の事だ。


 コンドミニアムから歩いて、十分程の所にある、学校が気になっていた。

 日本と全く違う雰囲気に、一度見てみたいと思っていた……


「やった! リサがいい! 絶対お迎えリサがいい!」


「いいんですか?」

 ジョンが、確認するように言う。


「ええ、是非……」


「それじゃあ、スクールの方には言っておきます。三時にお迎えをお願いします。僕も、あまり遅くならないうちに迎え来ますので……」


「はい! 責任持って迎えに行きます」


 ジョンは、また、私にハグをした。


 彼の触れた肩に、優しい手の余韻が残った。


 だが、簡単に踏み入れてはいけない、場所であった事を後になって後悔した。