「店長、月曜日の常連さん、いつものです。」

私は厨房にいる店長に注文を告げた。

「はいよー!じゃあ沙夜華ちゃん、そこのもつ鍋も持ってって!」

「…はーい」

店長はあの常連さんにとことん甘いらしい。

彼はお酒しか頼んでいないのに、いつもなにかしら料理をサービスしている。

わたしがこの居酒屋でバイトを始めてから半年以上経つけど、どうやらもっと長くからあの常連さんはこの店に来ているようだ。


そんな“月曜日の常連さん”と私は、

注文以外で話したことはおろか、彼の名前さえ知らないんだ。