ざわつきを感じるテントの方に、もう一度チラリと目をやると、あらまぁ、令嬢方が今まさにテントを出ようとしているところで、皆様こちらに向かって来られるようです。
ほほほ、共通の敵を見つけると、本当に仲良くなられますこと。
「エセル、僕の話を聞いているのか!」
ああ話の途中でしたね、ええと……
「別に未練はありませんけれど、しいて言うなら暫くアンディーに会えなくなる事だけは、残念ですわね。弟が悲しむのは火を見るよりも明らかですし……」
「……」
「でも正直、後悔なんてこれっぽっちもしていませんわ。もともと社交界はわたくしには合いませんでしたし、侯爵様のおっしゃった言葉は、聞くに堪えないほど失礼でしたもの。それにほとぼりが冷めれば、アンディーにはまた会えるでしょうしね」
ほんの少し微笑んだ私の顔を見つめながら、レイモンド様はいきなり声を荒らげ、
「アンディー、アンディー、アンディー、アンディー、君はあいつの事は気になっても、僕の事は気にならないのかっ!!」
「あの……」
何が何だか意味が分からず、直ぐには二の句が出てこない。
小首をかしげたまま頭の中を回転させ、ああ、そういう事かしら??
と思い浮かんだ事をつらつら口にします。
「侯爵様、女性に、しかも平民のわたくしに叩かれる事って、社交界では恥になりますの? それともテントのお嬢様方に、カッコ悪いところを見せたく無かったのにとか? 単純に痛かったのですか? ……僕に大恥かかせて! もしくは痛い思いをさせたくせに気にならないのか!? って怒ってます?」
「まったく、君はなんでそうなんだ……」
今度はレイモンド様が私の顔をご覧になりながら表情を歪め、二の句が出ない御様子です。
ほほほ、共通の敵を見つけると、本当に仲良くなられますこと。
「エセル、僕の話を聞いているのか!」
ああ話の途中でしたね、ええと……
「別に未練はありませんけれど、しいて言うなら暫くアンディーに会えなくなる事だけは、残念ですわね。弟が悲しむのは火を見るよりも明らかですし……」
「……」
「でも正直、後悔なんてこれっぽっちもしていませんわ。もともと社交界はわたくしには合いませんでしたし、侯爵様のおっしゃった言葉は、聞くに堪えないほど失礼でしたもの。それにほとぼりが冷めれば、アンディーにはまた会えるでしょうしね」
ほんの少し微笑んだ私の顔を見つめながら、レイモンド様はいきなり声を荒らげ、
「アンディー、アンディー、アンディー、アンディー、君はあいつの事は気になっても、僕の事は気にならないのかっ!!」
「あの……」
何が何だか意味が分からず、直ぐには二の句が出てこない。
小首をかしげたまま頭の中を回転させ、ああ、そういう事かしら??
と思い浮かんだ事をつらつら口にします。
「侯爵様、女性に、しかも平民のわたくしに叩かれる事って、社交界では恥になりますの? それともテントのお嬢様方に、カッコ悪いところを見せたく無かったのにとか? 単純に痛かったのですか? ……僕に大恥かかせて! もしくは痛い思いをさせたくせに気にならないのか!? って怒ってます?」
「まったく、君はなんでそうなんだ……」
今度はレイモンド様が私の顔をご覧になりながら表情を歪め、二の句が出ない御様子です。
