でもそんな事より、幼児に教える言葉じゃない! 
しかし夫はしれっと、
「う~ん簡単に言うと、大好きで大好きで仕方がないって事かなぁ。お母様はお父様の事、誰にも取られたくないくらい愛してるんだってさ」

機嫌良さそうに好き勝手言って、サブリナにウインク。

「子供に変な事教えないで!」

話どんどんずれちゃってるし。

「照れちゃってかぁわいぃ。サブリナの事は世界で一番大好きだけど、君の事は宇宙で一番愛してるし、恋してるから大丈夫だよ」

全然大丈夫じゃないんだけどぉぉ! この人、話しが通じませぇん! 

うっぷ、なんだか胃がムカムカする。

とその時、おーっほっほ、おーっほっほ……

弾かれたように、開け放たれたアーチ形の入り口に視線を向けると、いつからそこにいたのかゴージャスなダリアを思わせる
「母上っ!」「バーバラ様っ!」「バーしゃま!」

「グッドモ~ニィン♪ ちっとも大丈夫じゃないわよ、レイモンドぉ。エセルちゃんの永遠の恋人はルース伯爵だもの、叶わぬ恋ってやつだわね~。エセルちゃ~ん、次は菫の瞳のベビーちゃん、ヨロシクね~」

歌うように艶やかな声を響かせながらコツコツと歩みを進め、ほんの少し離れた席に座られました。

それにしても今、凄い言葉を聞いたような気がしますが、理解が追いつきません。
チラリとレイを見れば、雨雲背負って、く、暗い。
サブリナは「バーしゃま~」と嬉しそう。