「では、後ほど軽めのお食事をご用意いた」
「何も要らないから、僕に構うなっ!」
レイモンド様の声が止むと同時にドアが開き、退出しようとするリードマンと視線がぶつかります。
瞬時に目の前の細い目が、蛇の目のように真ん丸になり「奥様っ、勘弁して下さいっ!」
と、非難、安堵、色々載ったひそひそ声が飛んできます。
「取りあえず、あの人何とかして下さい!」
リードマンは引き続き声を潜めながら、自分の胸に人差し指を向け室内を指さします。
頷きながら決死の覚悟で入室!
リードマンが残ってくれる事が救いです。
それにしてもお酒臭い。
テーブルや床には四本…いえ六本、大小のお酒の瓶が行儀悪く転がっています。
レイモンド様の本当の気持ちは分かりません。
けれど、妻となった私を慈しもうとしてくれたお気持ちは、伝わって来ました。
たとえ上辺だけだとしても、嬉しかったのは事実です。
一人きりの寝室で、昨夜はどれだけプライドが傷付いた事でしょう。
とにかく謝らなければ。
ベッドで上掛けにくるまって、羽根枕に顔をうずめている夫に急いで近付き、勢い良く頭を下げました。
「侯爵様、本当にごめんなさい」
淀んだような沈黙が流れ、
「君誰だっけ?」
罵倒されるものと思っていましたが、拍子抜けするほど静かな声です。
「何も要らないから、僕に構うなっ!」
レイモンド様の声が止むと同時にドアが開き、退出しようとするリードマンと視線がぶつかります。
瞬時に目の前の細い目が、蛇の目のように真ん丸になり「奥様っ、勘弁して下さいっ!」
と、非難、安堵、色々載ったひそひそ声が飛んできます。
「取りあえず、あの人何とかして下さい!」
リードマンは引き続き声を潜めながら、自分の胸に人差し指を向け室内を指さします。
頷きながら決死の覚悟で入室!
リードマンが残ってくれる事が救いです。
それにしてもお酒臭い。
テーブルや床には四本…いえ六本、大小のお酒の瓶が行儀悪く転がっています。
レイモンド様の本当の気持ちは分かりません。
けれど、妻となった私を慈しもうとしてくれたお気持ちは、伝わって来ました。
たとえ上辺だけだとしても、嬉しかったのは事実です。
一人きりの寝室で、昨夜はどれだけプライドが傷付いた事でしょう。
とにかく謝らなければ。
ベッドで上掛けにくるまって、羽根枕に顔をうずめている夫に急いで近付き、勢い良く頭を下げました。
「侯爵様、本当にごめんなさい」
淀んだような沈黙が流れ、
「君誰だっけ?」
罵倒されるものと思っていましたが、拍子抜けするほど静かな声です。