「死んで花実が咲くのなら、墓場はいつでも花盛りよ。生きていればこそ綺麗な花が咲く。早まっちゃいけねぇ」

良く通る低音を響かせながら、部屋の中心に進み出たのは父のルーカスです。

インパクトのある登場に、皆様呆気に取られており、張り詰めていた空気が少し緩みました。
 
「それにしても婿殿ぉ、殴り方が甘過ぎるだろう?」

行き成り振られ、レイモンド様は目をぱちくり。

「俺なら女を泣かせるゴミくずは、顎と歯がぐらんぐらんになる迄ぶん殴ってやるのに」

芝居がかった口調で大袈裟に言う父を、ハリー様は睨み付け、『覚えてろよ!』と吐き捨てるように言って、逃げるように部屋から出て行きました。

暗に恥をかかされて怒ったのでしょうが、あなただって父を悪しざまに言ったのだから、おあいこでしょ!