牢屋は大変な騒ぎとは知らず

時雨「…燐様…今日は食べてくれるだろうか……」

手には大量のお菓子を持ち牢屋に続く道を歩いていた

前にお菓子を見せた時に興味を持っていたのを覚えていたので最近顔を見せる時に必ず持っている

時雨「……だが警戒心がすごいお方だ…お菓子を食べさせようとしたらあそこまで逃げるのか驚くぐらいな…」
前回の失敗を苦笑しながら扉をあける

すると扉の向こうの光景はあまりにも悲惨だった

何か叫びながら娘を刺し続けている女王と動かなくなった少女だった

手に持っていたお菓子などが全て落ちた そして我に返り

時雨「!?おい!!お前達!女王様を止め燐様を助けろ!!」
後ろに控えていた兵士達に大声で言い自分も燐の元にいく

兵士「はい!!加奈様!!おやめください!」

加奈「離せ!!!もう私は失うものなんかないのよ!!」
喚きながら兵士達を抑えつけるが暴れる

そんな加奈を横目に見ながら
時雨「燐様!しっかりしてください!!」
目を覚まさない燐を必死で体を揺らしながら声をかける

二人を見ながら加奈は残酷なことを言った

加奈「それはもうゴミよ!!おい!そこのお前!!今は王がいない中私が国の頂点だ!私の命令は絶対だ!そこのゴミを……捨てろ」
自分を押さえつけている兵士に言い放つ

兵士「は…はい!かしこまりました!月詠様!失礼いたします!」
加奈の気迫や言葉に負け時雨と燐を引き離し燐を連れ外に出る

時雨「離せ!!燐様!!燐様!!」
多人数の兵士に押さえつけながらもなお愛する婚約者の名前を叫び続ける

その声は虚しく響き渡るだけだった

翌日新聞にはこう書かれていた

カルデァル国では王様がなくなった 裏では娘が死んだ扱いに行方不明になった

女神はどこに消えたのか……