久々の、2年生の校舎。


1回目行ったあのときは、

まだ付き合ってなかったんだよなあ。



2回目行った時は、女の人がたくさんいて、

勝手にやきもちやいたっけ…。



たしか、2年3組。



周りの人が興味津々に私のこと見ててこわいけど。


そーっ、教室を覗くと、

ヨウくんはゆっくりと帰りの準備をしていた。


「……ふぅ。」


「あ、琴羽ちゃんよね?」


ぱっ、とふりかえると、


「あ、春姫先輩!」


春姫先輩だった。


ぺこり、と挨拶をすると、


「ヨウ?呼ぼうか?」


と優しい笑顔。



だけど、そんな、優しい春姫先輩に対して私の気持ちは、

『嫉妬』だった。


ヨウくんの元カノで、幼馴染で、

誰よりもヨウくんを知ってて。


負けたくないって思った。


あーあ、ちっちゃい女だな。




「い、いいです!自分で、呼びます!ありがとうございました」

ぺこり、と礼をする。


「あ、そ」

「…え」

体が震える。


いつも、優しい春姫先輩の笑顔はすこし、

こわかったのだ。


「じゃあね。仲良くね。」

でもすぐに、淡い笑みにもどって、

さらさらの髪をなびかせて、

廊下を歩いていく。


見間違え、かな……



って!

はやく呼ばなきゃ。


玲奈先輩とか、女の子集まってきちゃうよ~。

緊張するけれど。


意を決して、ドアを開ける。



ガラっ!!

大きな音。


みんなの視線がこっちに集中するなか、

「こと、」

と、ヨウくんの声が聞こえて。


「あ、あの、迎えに、きま、した…」


顔が熱い。


ひゅーひゅー、と、小突かれるヨウくん。

嫌じゃ、なかった、かな。


「待って、すぐいく」


ヨウくんはそう言うと、

机の上にだしていた、筆箱やらを急いでカバンの中になおし、

こちらへかけてきてくれた。



不安だった気持ちはすぐにとんでって。


なんでって?

「よし、帰ろう。」

といった、ヨウくんの顔は、


もう、嬉しそうで、


幸せそうだったから。


「…ヨウくん。」


でもね、今日は帰る前にしなきゃいけないことが、ある────。