朝、10時半。


駅前の、噴水広場。


天気は晴れ、少し寒いけれど、緊張で火照る体にはちょうどいいくらい。


服装は、お姉ちゃんいわく、

『the デート』

らしい。


白いニットに、くすんだピンクのチェックスカート。


上にはキャメル色のブルゾンをはおり、


足元にはブーツ。


メイクは薄めだけれど、ピンクベース。

ラメのはいった、チークやアイシャドウがキラキラとひかる。


髪は、そのままストレートでおろし、


優しい香りのコロンをふった。


うん。

すごく可愛い。


私に似合ってるかわかんないけど、

デートっぽいし。


ヨウくんは、喜んでくれるだろうか…



「こと…?」

後ろから声がして振り返ると、


「ヨ、ヨウくん!」


ヨウくんが少し驚いた顔をして立っていた。



白のTシャツにデニムを合わせ、黒のMA-1を羽織ったヨウくん。

ラフな格好だけど、ヨウくんが着るとすごくかっこよかった。



「なんか、可愛いから誰かとおもって…」


自然とそんな言葉を言えるヨウくんはすごいと思う。


「行こうか。」


優しい笑みで、迎え受けるように手を握られる。


「ヨウくんも、かっこいいです、」

負けじと、私が言うと、

ピタリ、とヨウくんの動きが止まる。



「あ、あーー、うん。ありがとう、ございます…。」


ヨウくんは振り返りはしなかったけど、


真っ赤な耳を見ただけで充分だった。