なんか、泣きそう。


私、ムキになって…。


最悪だ……。


柏木先輩を傷つけた…。




せっかく、ヨウくんのお友達と仲良くなれたかもしれないのに。


ヨウくん、ごめんなさい…。



私はヨウくんが待ってる、

校舎へと戻った。






「ヨウくん!待たせてごめんなさい!」


靴箱で座っているヨウくんに声をかける。


「あ、きた、大丈夫だよ」

やさしい笑み。



そのあったかい空気にまた泣きそうになる。


「…。」


「こと?なんか、泣きそうな顔してる。寒い?」


「え、」



なんで、この人は……。


胸がきゅうっとなって、

はぁ、と息をはきだす。


「私、柏木先輩を怒らせちゃった…かもしれません。」


下を向くと、


「え!?あいつ怒ることあるの?」

と驚いた口調の、ヨウくん。


「私、女好き、って言ったんです。もう、本当にごめんなさい……」


「ふはっ、ことらしいな。…大丈夫だよあいつはそんな奴じゃない。」

顔を上げると、

な?、とヨウくんが笑ってた。



悪いことをしたはずなのに。


心が痛いはずなのに。


なんだか、心がすこしだけ、

軽くなった気がした。