10分くらいそこで待機していると、

マンションから、ヨウくんが出てきた。


「あ、来ましたよ」

「ほんとだ、行こっか、ちゃんと説明しないとキレられそ、へへ」

ペロリと舌を出しわらう、柏木先輩。


ヨウくんは私たちに気づくと、

私と柏木先輩の顔を交互にみて、


「え?」


と言った。



「あ、これは────

「ヨウっおはよ!なんか、琴羽ちゃんヨウのこと迎えにきたらしくてさ、道迷ってたから俺が案内したんだ!」


言いかけたところで、

柏木先輩がさえぎり、話す。


「うん、別に疑ってないよ、」

ヨウくんも笑ってる。


あ、なんか、この二人は絶対ほんとの友達って感じがする。

雰囲気かな…。


容姿は似てないけれどどこか、似てる感じがする。


「…あ、あと、ついついの癖で琴羽ちゃんの髪に触りました。すみません。」

深く深く頭を下げる柏木先輩。


それに対してヨウくんは

「はぁ?…お前なぁ……めちゃくちゃ嫌だけど俊だから許すよ」

と返事した。



「へへっ嬉しいよ、じゃ、俺今日はミキちんとだから行ってくるよ、じゃな」

照れ笑いを浮かべた柏木先輩は、

ニコニコと幸せそうに手を振って、先にいってしまった。



今日、は…?ってどういうことだろ。


「おはよ、こと」

「あっ、おはようございます」

「わざわざ迎えに来なくても…嬉しいけど」

「私が会いたかったんです」


ヨウくんの手を握る。

家から出てきたばかりのヨウくんの手はホカホカだった。


ヨウくんは、握ってない方の手を私の髪にまわした。


さら……

とくように髪を撫で、にこり、と微笑むヨウくん。

「俊も触ったのずりぃから、おれも。…サラサラだね。なんかいい匂いするし」


髪を触ったその手をくん、と匂うヨウくん。


「……っ!」

恥ずかしさがこみ上げてきて、

じーんっと体があつくなる。


「なっ、変態です…!!」

恥ずかしすぎる…。

もう、心臓もちません…。