やばい、怒らしちゃったかな…。

急に私が行くから。

不安で仕方が無いよ……。


ヨウくん、ヨウくん…。

ガラッとドアがあいて、はっと顔を上げる。


「ヨウく───…っ。」


ヨウくん、じゃ、なかった…。


春姫先輩…だ…

どくん、どくん。


春姫先輩は、暗い顔をしていて。

私の顔を見ると、少しだけ微笑んで、

帰っていった。


どうして、そんな困った顔を……。


ガラッ。

今度こそ、ヨウくんだった。


「待たせてごめん。行こうか。」

「は、い…」


いつもは、つなぐはずの手。

ヨウくんから差し出されて。


今日は、繋がないん、だ…


嫌われちゃった?呆れちゃった?


「…っ」

そう思ったら涙が止まらなくて。

こんな弱くて重い女。ダメだってわかってる。

でも、とまらない。


ふと、私の方へ振り返ったヨウくんは。


足を止めて。



「こと……こっち、来て」

と、穏やかな声で喋った。


とぼとぼと、
ヨウくんに歩み寄る。


細い指が私の涙をすくう。

冷たい手。


「…って、俺たち知り合いじゃないんだっけ?」

ヨウくんは私の顔を意地悪っぽい笑みでのぞき込む。


「…っふぇ…っ…だ、って」


「ははっ、いじめてごめん。ちょっと、話そう?」


私たちは、2階から1階に続く階段へ座る。