「────あれ、こと?」


私に気づくと
ヨウくんはびっくりした顔を見せた。


「あれ?ヨウの知り合いなの?」

玲奈先輩は、私とヨウくんを交互に見る。


「えっと、その子は─────
ヨウくんが話しかけた所で私はとめた。

「この前、た、助けてもらって!そのお礼に!別に知り合いとかそういうのじゃなく、て…」

と。


こんな美人な人の前で、

自分は彼女です、なんて言えないよ…。

そこまで私は自信が無い。


「あっそうなの~?」
玲奈先輩は少しホッとしたように笑った。


きっと…この人も。

ヨウくんのこと、好きなんだ…。


胸が、苦しい。

はやく逃げ出したい。


「じゃ、私たちはいくね、ばいばい…あ、ヨウ、春姫に先帰っとくって言ってて!」



春姫……って、

春姫先輩…?


春姫先輩も一緒に居残りだったの?


どうしよう。わたし、今ものすごく、苦しい。


玲奈先輩たちが去ったあと。


ヨウくんは、

「すぐ、行くから待ってて。」

と。少しくらい声で言った。