大樹の後ろを少しゆっくりのペースで、

私は歩いた。



見上げると、奥に大樹の姿。


いつもシャンプーの香りがする柔らかい髪、

男っぽいからだつき。


いまでも、

ああ、好きだなあ、って思っちゃう。



ぶんっと頭をふって、

もう終わったこと、とインプットさせる。


✲✲✲



「は?」


中川 沙羅(なかがわ さら)、私の親友。

沙羅に別れたことを告げると、この反応。


「ちょ、っとまってそれなに。」


こわいです、沙羅さん…。


沙羅は面倒見がよくて、大人っぽくていつも私を助けてくれる大っ好きな親友。

中学校からずっと一緒。


「でも、しょうがないんだよ…。」


ほんとに、しょうがないんだ。

どっちが、悪いとかじゃなくて。

自然な、こと。


「そう、元気だしなよ」

沙羅は私の頭をぽん、と優しく撫でた。


「うん、ありがとう。」


言葉は冷たいけど、

絶対人をけなすことは言わないし、

優しくて、素敵な女の子の沙羅。


沙羅が、友達で良かった…