ヨウくんがハッ、とした顔でこっちを見る。


「も、待って、ほんとにやめろよ…」

ヨウくん手で顔をおおう。

耳が真っ赤になってるのが分かった。


「あの、さ、ちょっとだけギュッてしてもいい?…い、嫌だったらいいから」


ヨウくんが上目づかいで聞いてくる。

そんなの……嫌なわけないじゃん。


「いいに決まってます…」

そう言うと、

ヨウくんの手がまわってくる。


ふわ。


はじめて、出会った時。

その時も抱きしめられた。


だけどその時より、

あったかくて、胸がくすぐられて、強くて。


ただ、優しい石鹸の香りだけは変わらない。


落ち着く……。



「好き。」

耳元で、ヨウくんは言った。


「ひゃっ」

その吐息がくすぐったくて変な声を出す。


「もー、可愛すぎて無理だわ」

ヨウくんは抱きしめる手を強くする。


「離したくない…、ずっといて…」

ヨウくんの強ばった声が聞こえて。

私もヨウくんをぎゅーって抱きしめた。


「言っときますけど私めっちゃくっちゃヨウくんのこと好きですからね!」


幸せだ。

すっごく幸せ。


さっきまでの張り裂けそうな不安はどこかへいって、

ほんとに、胸があったかい。


「俺のほーが好きに決まってんだろ」


きっと顔が赤いだろう。


お互い。


胸の鼓動が、

はやくなるのをかんじた。