着くと、

ヨウくんは、ぼーっとしていた。


「ヨウくん…」

静かに声をかけると、

ヨウくんは驚いた顔をして、私をみた。


ズキン。


「…っ、あの、さっきはごめんなさい…、ヨウくんは何も悪くないのに責めたような感じで帰っちゃって…」

振り絞った声はかすかに震えた。

私だけじゃない。しんどいのは。


ヨウくんはじっと、私を見てた。


そして、ふ、っと、柔らかく微笑んだ。


ドキッ…。


この、笑顔。

この笑顔が見たかった…。

少し、安心する。


「…ううん…。この際だから言うね。」

ヨウくんは、意を決したように私を見つめる。


「俺さっき、春姫を抱きしめたんだ。」


ずきん、ずきん…。


ああ、頭が壊れそう。


「大樹くんと別れた…って泣いて、さ。抱きつかれて、切ない顔をみたら、突き飛ばせなかった…言い訳にはなんないけど俺には出来なかった…。」

ヨウくんは、苦しそうに話す。

どうしてこの人は、

こんなにも不器用なの?


もっと、大人だと思ってた。

甘党だし、甘えんぼだし、

不器用で。


私を狂わせる。


しんどい、胸が、痛い。

苦しい、よ───。