帰り道は、

手を繋いで、

おはなし。



すごく、久しぶりに感じる。


「こと、俺、好き。こと、大好き」



歩いてると、唐突にそんなこと言うから。



なんか笑っちゃって。



「私も」



そう言うと、ヨウくんは笑う。



柔らかい髪も、


力強い腕も、


石鹸の香りも。



全部全部、私だけが知ってればいい───。



なんて、欲が深すぎるんだけどね。



家の前に着くと、



「ばいばい」って、あっさりとヨウくんが言うから。


「やだ、一瞬にいたいですよ」


って言ってみると、




「ああ、もう。うん。俺だって今すぐ俺の家につれてって、くっつきたいけど、もう時間だし、」

ね、と促されるように、家のドアのほうに歩かされる。




でも、でも…




「こと」


名前を呼ばれて、



振り返ると、






「ん、」



不意打ちのキス。





甘くて、優しい。



「また明日」



ヨウくんは、キラキラの笑顔で、


目の前から去っていった。




腰が抜けて、玄関に座り込む私。




ヨウくんの顔が頭にこびりつく。



まだ、瞳に星が降ってるみたい…。