そして、最後に、


もういちど、

「ゆ、譲りませんから!」

と、言うと…。



「そう来なくっちゃ」

と、ニコッと笑う春姫先輩。


やっぱり可愛い。



こんな素敵な人に負けてるのはわかってる。



でも、それでも、

ヨウくんが私を選んでくれたから。


私はもう絶対、ヨウくんを手放したくない。



負けない。



「はい、それだけ!チャイムなるから戻るね」


ひらひらと手を振って、春姫先輩は、2年生の校舎に戻っていく。


その背中に、ペコッと一礼をする。



そして、私も、

駆け足で教室へ戻った。



✲✲



教室に戻ると、


みんな私を見た。



よし。

いうぞ…。



「わ、私、ヨウくんと付き合ってるから!…その、応援してくれたら嬉しい、です」


こんなに緊張するなんて。



ぎゅ、と手を握り、

みんなの方を向く。



「やっぱり!」
「おめでとう!」
「最高じゃん〜!」


みんなは口々に言う。



え……。



応援、してくれ、てる。


釣り合ってない、とか言わないんだ。



…私ってば、誤解しすぎてた、な。


みんなに、ありがとう、と言って、

自分の席に着く。



もちろん、


沙羅と、大樹は、


おめでとう、と言ってくれた。



春姫先輩と話せてよかった。




もう、失敗しない。


大丈夫。


上手く、やれる。