「は、春姫先輩…!?」


いつもの柔らかい笑みとはちがった、

きつい顔をした、春姫先輩だった。



な、なんで。



春姫先輩は口を開く。

「言っとくけど、ヨウと琴羽ちゃん付き合ってるからね?邪魔しないでよ?」


と、


クラスの人を諭すように春姫先輩は言う。


私が言いたかった言葉をいとも簡単に。



少し悔しかったけど、

今は助けられた気分。



そして、春姫先輩は、そのまま私の腕を引っ張った。



「え、え、」


なんで春姫先輩が…?


わけも分からずついていく私。




あまり人の通らない渡り廊下へ来ると、


くるり、と私の方を向く春姫先輩。



ひゃ、美人。


綺麗な顔。



そんな春姫先輩から発せられた言葉。

「おめでとう」


だった。


「え…」



春姫先輩は真っ直ぐに私を見てもう一度言った。

「ヨウからきいた。おめでとう。」



私は素直に、

「ありがとうございます」

と答える。


なんとなくだけど、

いつもと違う雰囲気の春姫先輩。


ダークっぽいっていうか…。



そんなことを思っていると、春姫先輩が形の良い唇を開いた。


「それと、さっきのなに?堂々と付き合った、って言えばいいじゃん。バチあたんないよ?」


真顔で言う、春姫先輩。


すべてを見透かされてそうでこわくなる。



「でも、」


私が濁すと、


「でももくそもないの!!あんたがフラフラしてるとすぐ取られちゃうんだからね」

と、叱った。


春姫先輩…。

こわい、けど、


優しい、のかな?


すごく気にかけてくれてる。



春姫先輩は続ける。


「それと、ごめんなさい。クリスマス台無しにしてしまって。私、ずっとヨウが好きだった。それなのに、ヨウは琴羽ちゃんばっかり見るから。意地悪しちゃった、ごめんね」


頭を深く下げる春姫先輩。


さら、と

髪の毛が肩からこぼれおちる。


きれい、だなあ。




「私も、ヨウくんが好きです。大好きです!!譲りません!」


強く、春姫先輩の目を見つめる。