触れたい。



あの空白の時間を取り返すくらい、

触れたいの。


学校へ、歩く足を止めて私は呼ぶ。


「ヨ、ヨウくん…」



私、変だな。


前、付き合ってた頃よりもずっとずっと、好きで愛おしくなっている。


あんなにも辛い思いをしたのに。



「ん?」

綺麗な顔は、私に向けられて。


その目に見つめられると胸が苦しくなる。


…っ、

なんて言ったらいいの…。


わからなくなった私は上手く、言葉を濁した。



「あ、ううん、なんでもないです」


「そう?」


私ってば、いまさらなのに、
緊張してる。


この人はかっこよくて、優しくて、素敵で。


大人で。



触れてほしいんだ。



ね、ヨウくん。

私、すっごくヨウくんのこと好きなの。



✲✲✲



靴箱につき、

私たちは別れる。


クリスマスイヴの前と同じだった。



ばいばい、って言ってそのまま別れる。



ヨウくんの周りには友達があつまって、


ヨウくんも楽しそうに笑ってる。


女の子もいるんだもんなあ。


こうやって、ヤキモチ妬いたり、

いっぱいいっぱいになって、


考えてるの私だけ、かな。



虚しくなって、

小さくなっていくヨウくんの背中から、

目をそらした。



「はぁ…」


仲直り出来ただけ幸せ。


これよりも、望んじゃダメ。



きゅ、と胸が苦しくなる。