次の日。


朝ごはんを食べようと食卓につくと、


お姉ちゃんとお母さんは、


「なにかいいことあったの?」と聞いてきた。



嬉しさが顔に出てたのかな…





「うん。すっごくいいこと」


へへ、と笑うと、

新聞を読んでいたお父さんが食いついてきて、



「なっ!?彼氏でもできたのか!?」

と、驚いた顔をする。



「ごちそうさまでした!」


そんなお父さんを無視して、

空になったお皿を台所へ運んだ。



制服にリボンを通して、用意周到のスクールカバン。


最後に鏡で変なところがないかチェック。



よし、大丈夫。



少しだけ、ドアを開けるのが緊張した。


たぶん、だけど、

開けたらきっと、ヨウくんがいる。



なんとなく、そんな気がするんだ。


「いってきまーす!」

「「いってらっしゃい!」」家族の声。



がちゃ。




ほら、いた。



「おはようございます」

って、笑ってみせると、


ヨウくんも、おはよ、と微笑む。



そのとろけそうな笑顔に、

頬が紅潮してくる。



「ひさしぶり、だね」

そう言われて、差し出される手。



繋ぎたい。


すごくギュッてしたい。




「そう、ですね」

私は手を握る。


「行こう」

ヨウくんは、余裕気な笑みで、歩き出した。