終礼中。


今日は、お昼まで。


宿題も全部忘れずに出せた。


ある意味、ヨウくんのおかげかもしんない。



放課後、急いでヨウくんのところに行かなきゃ。


きっと、ほかの女の子に遊びに誘われちゃったりするかも。



かばんにプリントたちをつめる。


そして、

さよなら、と共に、


走り出そうと、したんだけど─────。







バンっ、

と教室のドアが開いて。


みんなの注目が、あつまって。






「こと…」


息を切らしたあの人が、



愛しい人が私の名前を呼んだ。




一気にみんな私をみる。





ヨウ、くん。



久しぶりだ。


少し痩せたかな。



それでもかっこいい。


ぎゅっとしてほしい衝動にかられる。




あぁ、だめ。


きっと、別れ話。




「こと、話があって。」


「はい」



声は震えてないかな、


緊張が顔にでてないかな、


こわくて。



「ちょっとだけ来て欲しい」


そう言ったヨウくん。



こわいな。


でも、


温かい手が、

私の背中をとん、とおして。



ふりむくと、

沙羅と、大樹。



「ふぅ…」

少し、深呼吸して、


「わかりました」


と答えた。





すこしだけ、期待してもいいですか?



なにか、変わるかもって。



別れ話なんですか?





こわいけれど。


もう後戻りはできない。




ちゃんと伝える。



私も逃げないから。