【ヨウside】


どれだけ叫んでも

君は戻ってこなかった────。



あの日教室で、

渡された?投げつけられた?、

ネックレス。



雪の結晶、で、俺がプレゼントしたやつに似ていた。


それに、いいブランドのものだから結構な値段だっただろう。



なのに。

俺は、間違ってしまった。


何を一番にするべきか。


幼馴染で元カノの、死にそうという不安に寄り添うべきなのか


彼女を待たせずに楽しくデートするべきなのか。



答えは簡単なのに、

すごく、まっすぐなはずなのに、


俺は間違った。


「死んじゃう」
と言ったハルの顔はいつか、

デートで行った遊園地で倒れた時を彷彿とさせた。


その時のことは鮮明に覚えている。


ハルはメリーゴーランドに乗ったあと、

ポップコーン売り場に並んでいる時、

ぱたん、と力なく倒れた。



俺が、呼びかけても、


どれだけ叫んでも起きなくて。



救急車に一緒に乗り込んだ時、


「死んじゃうかも」って、

力なく笑った。


その時の、顔が、忘れられなくて。


クリスマスイヴの、

あの表情は、俺には突き放すことなんてできなくて。



それと同時に、ことを傷つけた。


傷つけた、なんて言葉で済ましちゃだめだ。



おれは、取り返しのつかないことをした。


だからはやく、俺はことの前から去らないと、


でも卑怯な俺は、冬休みを利用してことに、

何も言い出せずにいた。


そうすれば、こととは、恋人でいられる、と。



そんなとき、大樹くんに会って。


まっすぐ、まっすぐ、

ことを想う気持ちがぶつかって。


自分の気持ちと入り交じって、溶けた。


簡単なのに。


彼の言ってることは、簡単なのに。

でも、それを実行するには、

難しすぎるものだった。



つぐない、は、

黙って去ることじゃない。


きっと、それをすれば、

ことは悲しむ。


それなら、

俺はもう一度、


ことに、想いを伝えなきゃなんない。



今すぐ抱きしめたい衝動にかられた。


急に行っちゃ、だめ、だよ、な…。


「はぁー…」

いそがないと、

本当に大樹くんみたいなやつにとられてしまう。



それだけは絶対やだ。


わがままだけど、ことは、手離したくない。



こと、好きだよ