緊張して原稿を閉じた瞬間私は急いで聞いた。

「ど、どうかな?」

「面白いよ。でも何か足りない気がする」

「うん…」

「人の気持ちが無いんだよ。書いてあるのはその時の情景だけ。きっと高野ちゃんはまだ子供だから気持ちを沢山知らないんだ。」

「そんなことない…高校生でも作家さんいるんだよ?」

「そういう人って安木先生ぐらい売れてるの?」

「それは…」

「もっと色んな事を体験してごらん。」

「うん」

「安木先生。またいらっしゃったら連絡するよ。」

「分かった。ありがと」

「はいよ」


家についてからベッドに突っ伏した。
正直すごく勉強にもなったし同時にショックも受けた。でもやっぱり私じゃダメだってことを証明されたみたいで悔しかった。

「夢ねぇは一瞬で書こうとするからじゃない?」

弟の結斗(ゆいと)が言った。

「もっと時間をかけるようなものだって僕思ってたもん。」