安堵した次の瞬間、先程より鈍い音が響いた。
黒田の身体の力が抜けたと思えば目の前がひらけた。
一瞬何が起こったのかわからなかった。

けれどその目線の先には拳銃を構えた堂園がいて、拳銃からは煙があがっていた。

堂園が黒田にむけ発砲したことを察した。

「……え?」

黒田はうつ伏せで床に崩れ落ちる。
そしてドロドロした液体が背中から溢れ、床一面に広がった。
血だった。

「嘘…」

私は床に崩れ落ち、黒田の背中から溢れ出る血を見つめる。

「嫌…」

嘘だ。
こんなの嘘だ。

この人はこれからやり直すはずだった。
復讐に捧げた人生で憎しみだけで生きてきた彼が、殺されて終わる結末なんて…
この男はどこまで黒田を…私たちを不幸にしたら気が済むの?

「いや…いやああああ!」

私は叫んだ。
部屋には私の泣き声だけが響いていた。