「待ってろっていったら何十年も待ち続けて、挙げ句の果てに自殺だなんて。馬鹿だよな。迎えになんていくわけないのに」

何で笑えるの?
あんたのせいで、黒田の母親は自殺したのよ?
この男は悪いだなんて微塵も思っていない。
どこまで腐っているの。

「こいつ…っ!」

私が堂園のほうへ思わず飛びかかりそうになると、黒田がすっと左腕を伸ばし私を止める。

「私は絶対に辞任などしない。だからお前らはここで死ぬんだ」

黒い男達は黒田の急所を狙って拳銃を構え直す。

「大人しくしていれば良かったものを。馬鹿女に育てられた子供もやはり馬鹿ばかりだな」

堂園はそう言って高笑いをする。

「お前らも終わりだな!」

そんな堂園を静かに見つめる黒田。
すると黒田は小さな声で笑い始めた。

「黒…田?」

私は黒田がおかしくなったのかと思い、驚く。

「何だよ。追い詰められておかしくなったのか?いま土下座をして泣いて命乞いをしたら、態度次第で助けてやらんでもないぞ」

ますます調子に乗り出す堂園。
追い詰められた私たちは、もう終わりだ。
そう思った。