『初めましてだね』

そう言って堂園は椅子に深くもたれる。

『母がさんが自殺した』

俺は唐突に本題に入った。

『…そうか』

『お前が迎えに来る気はないくせに、母さんに希望なんて与えるから母は死んだんだ』

あんな指輪なんて渡さず、母と縁を切っていてくれたらこんなことにはならなかったのに。

『お前が母さんを殺したんだ』

そう吐き捨てると、堂園はうつむきながら笑い始め、だんだんと笑い声が大きくなっていく。

『何がおかしいんだよ!』

『あの女が勝手に死んだんだろう』

堂園は立ちあがり、俺のほうへと歩いてくる。

『私は迎えに行くだなんて言葉は一言も言っていない。あの女の妄想だよ』

『指輪だってあげたんだろ!?母さんはずっとあんたからもらったという指輪をつけていた!』

『そんなものはあげていない』

『嘘抜かせよ!』

『では証拠はあるのか』

堂園は俺の目の前で立ち止まる。

『その指輪を私が贈った証拠だよ』

嘘臭い不敵な笑み。
虫酸が走る。

『それは…』

『言いがかりはよくないな』

俺は言葉につまった。
言い返せない。