二話「新しい家」




 保健室の鍵を職員室に返しにいくと、丁度廊下で部活終わりだという国語の先生に出くわした。ジャージ姿の先生はあたしの顔を見るなり指をさしながらげらげら笑いだした。



「おい戸坂、その頭どうしたっ……地雷でも踏んできたのか……?!」



「は、ええっ?」



 あわてて鞄から手鏡を取り出す。鏡を覗き込むと、髪が薬品の調合に失敗して爆発に巻き込まれたエジソンみたいなことになってた。いやあれはアインシュタインだっけ? ってそれはどうでもいい! きっとソファで寝たときに寝癖がついてしまったんだろう。でもこれはポメラニアンもびっくりな寝癖だわ。

 ふとさっきの見知らぬ男子生徒の顔が思い浮かんで、あのときなんで笑ったのか理由がわかった。……わかった途端、後悔した。そりゃあこんなボサボサ頭で“女の子”なんて言われたら笑っちゃうよね。

 というかう゛わあああ恥ずかしい……!!!! 今すぐ穴を掘って飛び込みたい。シャベル、シャベルどこ。