「……ッ!」



 桐也を追いかけて庭に出ると、その光景に堪らず胸が高鳴った。

 地面は黄緑の芝生で覆われ、塀の傍には二本の樹木。それを囲むように何種類もの花が群れをなして咲いていた。



「きれい……!」



 ハナさんの趣味かな。あたしはマンション住みだから庭があるのは羨ましい……。

 ……カラフルな花畑の前に腰をおろし、その内一輪の白い花を包み込むように触れてみる。少し鼻を近付けると甘い香りがした。天然の柔軟剤ッ……。



「居候」



「はいッ!!」



 唐突にうしろから聞こえた桐也の声にあわてて立ち上がる。振り返ると彼は縁側に座りながら手招きしていて、隣の空いた床をトントンと叩いた。

 座れってこと……?



「……み、……水やりはいいの?」



「もう母さんがした」



「え??」



 …………あ゛。……まさか。