山のふもとに一本だけ、白い布の巻かれた細い木があった。 僕はそれを合図にして山の中へと入っていく。 山の木々はほとんどが葉を散らしたあとで、どれも焦げ茶色の太い幹がむき出しになっている。 辺り一面はすっかり落ち葉で溢れかえり、歩を進めるたび足元で、バリバリ、ザクザク、という軽快な音がした。 ほどなくして、苔と落ち葉にまみれた石段が見えた。 僕はその石段を踏みしめた。