半信半疑でそっと彼に触れてみた。
まだ生暖かく私の手のぬくもりが残っている。

さっきまではぞんざいにガッチャンガッチャン使い倒していたそれをそっと持ち上げる。

もしかして…
もしかしたら、ずっと私が探していた、
ずっと探していたたった一人(一つ?)の…
きっとそうだ。

運命を確信した私は改めて持ち上げた彼をじっと見つめた。
きっとサロメがヨカナーンの首を手に入れた時も同じ気持ちだったに違いない。

お前の唇に口づけたよ、ヨカナーン。ナンチテ。

私はすっかりサロメになりきり、彼の唇(と思われるところ)に唇を寄せた。



いてっ。



針が刺さった。