頭の中に疑問だけが残る女に、鏡の中の男は言葉を続けた。

「汝は指輪の女とアランとやらを別れさせたいと申した。そこまでは我にも簡単なことだ。しかし、指輪の女がいなくなった後汝とアランとやらが縫好ばれる保証はない。」

たしかによく考えてみると鏡の中の男が言う通りだ。邪魔者がいなくなってもアランが女のもとへ戻ってくるという保証はどこにもない。

女が考え直そうとしたところで鏡の中の男がまた口を開く。

「死こそが天国だ。指輪の女をそう簡単に楽にしてよいのか?汝の妬みはそれで消えるのか?指輪の女を醜い姿に変えて、永久に生きるという方が地獄を味わえるぞ。」

鏡の中の男は不敵な笑みを浮かべ女を見つめる。

この契約を断ったのなら、今度こそ取るというような瞳で。

女は考えた挙句、鏡の中の男に大きくうなずき微笑んだ。

「あの女を生かすという考えにはあまり納得できないけど、苦しませることには変わりないのね。その契約、のってみようかしら?」

女がそう言うと鏡の中の男はまた不敵な笑みを浮かべ楽しそうに女の名前を求めてきた。

「では契約だ。女、貴様の名前を申せ。貴様の名前がわからねば我は貴様を探せない。」