裕達を二人きりにさせる為に席を外したのはいいけど、行く場所なんてないからこのまま帰ってやろうかと思った。



まあ、そうすると裕がうるさいからしないけど。



「……あれは」



少し遠いところに見える、見覚えのある後ろ姿。



俺がここに来ることになった理由の人物。



そろそろ、あいつが泳ぐ時間じゃねぇの?



そんなことを思いながら、後ろ姿を見つめる。



よく見ると僅かに震えているように見えて、緊張でもしてるのか……と、どこか納得する。



こんな大きな大会だから、緊張するのが当たり前か。