その人は校舎を出て、裏庭へ入っていった。
わたしは迷ってしまわないように、
数歩後ろをついていく。

と。
その人は小さな池の前で立ち止まり
振り向いた。

わたしは突然見据えられて
ビクッと身体を強張らせた。


そんなわたしをみて
少しだけ俯いて、


「…七瀬。俺のこと、覚えてるか。」

と、言った。