口は悪くても、
さっきの言葉が
わたしを庇ってくれていたのは
はっきりわかった。
だからこそ、鈴原くんがわからなかった。
「…っなんで、言い返してくれたの…。」
気がつけば、
そんなことを聞いていた。
「………別に。
そんなことより、七瀬、その顔で
授業受けるのか?」
「えっ」
わたしの顔は涙でぐちゃぐちゃで、
とてもじゃないが普通に授業を受けられる
状態ではなかった。
それを鈴原くんに指摘されたのが
急に恥ずかしく感じて、
咄嗟に顔を持っていた教科書で隠した。
「……ふっ」
「わ、笑わないでっ」
鈴原くんの笑った顔は
目尻が下がってかわいくて、
余計に恥ずかしくなった。
顔にどんどん熱が集まってくるのがわかる。