階段を上れず、立ちすくんでいると、

「お前ら、恥ずかしくないの?」


もうひとり、声が聞こえた。
それは紛れもなく、鈴原くんの声で。

「人のこと笑ってないで
そのバカ丸出しのメイク、
どーにかすれば?」

「は?」
「サイテー。」


パタパタ、階段を上っていく数人の足音。


とはべつに、
階段を下りてくる、ひとりの足音。


その足音の主が、わたしに気づいて
歩みを止めた。


「……聞いてたのかよ。」


鈴原くんはバツが悪そうに顔を背けた。


わたしは、いままで溜めていた涙が
床に落ちていくのを見ていて。


わたしがこの前、
関わらないでと突き放した人なのに

どうして…。